初期のパイパーズは最高の教科書だった!
(特に創刊号〜50号前後)

振り返れば私の学生時代、
特に本格的にトランペットを勉強することを志し始めた頃は、
現在のようにインターネットが普及してあらゆる情報が簡単に手に入るような時代ではなかった。


管楽器関係の情報源として
中学の頃は、“バンドジャーナル”くらいしかなく、
当時は判の大きさが現在のものよりサイズが少し小さめで、
高校生になってからのどこかの時期で現在と同じサイズの雑誌になったように記憶している。
“バンドピープル”が創刊されたのも高校時代のどこかだったように思う。

当時の“バンドジャーナル”“バンドピープル”はどちらかといえば吹奏楽専門誌の感があり、
吹奏楽の指導者を対象とした記事が多く、
逆に個人的に上手くなるための特集や記事が非常に少なく(現在のものとは違って)、
少し不満があったのは、きっと私だけではなかったはずだと思う。


雑誌以外では、前出の
マジオ金管教本(カールトン・マクベス著)
トランペットのテクニック(D.デール著)
“金管楽器を吹く人のために(フィリップ・ファーカス著)
金管ハンドブック
(F.フォックス著)

その他、
最も有名な“アーバン金管教本”
“トランペットを吹く人のために(J.べラマー著)
“アンブシュア〜管楽器奏者のための(モーリス・M・ポーター著)
等の
教則本・理論書が日本語版として出版されていた。

また、
H.L.クラークへリングコープラッシュ等のアメリカ版の教本
フランス版の各種教本
等の輸入版も入手は可能であった。
ジェームス・スタンプの教本を楽譜屋さんの店頭で見かけはじめたのも
たしか私が高校2〜3年の頃だったように思う。

しかしながら当時は、
これらの国内外の有名な教則本や理論書を
どのようにして利用し学習すればよいのかのガイドラインを示してくれるような
情報媒体はなかったと言えるのではないかと思われる。



そのような時代背景の中、
雑誌“パイパーズ”の創刊は、学生時代の私にとってまさに革命的な出来事だったと言える!
1981年私が大学受験生の時であった。

特に創刊号から50号前後位は、
大学受験生(一浪時代)〜大学卒業(5年)の頃の年代で
まさに、私にとっては“最高の教科書”と呼ぶにふさわしいものであった!

並べ挙げればキリがないほどだが、
当時、特に注目した記事を思いつくまま徒然にご紹介したい。

  
創刊第1号
我が青春の軌跡/佐藤哲夫(ジャズ・トランペッター) p.38〜p.40
「楽隊」の語り部/小山恒明(スタジオ・トランペッター) p.46〜p.48


  
第2号
マスター・ティーチャー北村源三の世界 p.19〜p.25
初め興奮、のち麻痺/細田忠義(トランペット奏者)&佐藤哲夫(トランペット奏者)他 p.40〜p.44


  
第5号
元ベルリン・ドイツオペラ・トランペット田宮堅二の世界 p.19〜p.26
20代トロンボーンの心技体/萩谷克己(トロンボーン奏者) p.34〜p.39


 
第8号
スタジオ・プレイヤー数原晋(スタジオ・トランペット奏者)の生きざま p.38〜p.43


  
第9号
トランペット「苦行僧」杉山正(トランペット奏者)の900日+α p.36〜p.43
トランペットのJ・スタンプがやってくる。 p.44〜p.45
【私は、ジェームス・スタンプ氏がこの来日の際、“楽器を持参していたものの一発の音も吹かなかった”らしい
という報道を後日、読んで(聞いて)がっかりした記憶がある。大学1年の時であった。】


 
第10号
ペダルトーンは役に立つのか? p.32〜p.35
【この特集は、次の第11号にも続いた。】


 
第12号
トランペット・プレイヤー(フランカン/フォヴォー/サバリッチ)そのフランスの系譜 p.44〜p.49


第13号から第16号まで
クラウド・ゴードン講演抄録/“我が師はハーバート・クラーク、金管奏法を斬る”
の連載があった。
【この連載の影響で、後(大学2年&3年の時)に私は“クラウド・ゴードン国際ブラス・キャンプ”に参加する
ことになったと言えるかもしれない。】



第14号から
モーリス・アンドレの世界(BRASS BULLETIN誌特約のインタビュー記事)
の連載があった。
【パリ音楽院時代、レモン・サバリッチに師事していた時、
明けても暮れても飽きるほどアタックの練習(しかもピアニシモで)をやらされたエピソード、
またその状態でやらされたとされるエチュードの数々を紹介し、
そして「そのことが後のソロイストとしての土台を築き上げることができた大きな要因である」と
モーリス・アンドレ自身が語っているところなどが、
当時の私にとっては非常に重要な手掛かりを与えてくれた。】



 
第17号
トランペット苦行僧杉山正/ゴードン奏法を語る p.46〜p.51
【次の第18号に続く連載。当時大学1年生であった私は、この記事の中でも紹介されている
1982年11月19日大阪のヤマハ・ミュージックセンターで行われた「古えの超絶ラッパを聴いて呆れる会」
に参加し杉山氏に会い、
クラウド・ゴードン(とその翌年参加することになる国際ブラス・キャンプ)に関する情報を得た。】



 
第21号
巨星モーリス・アンドレ--満50歳の誕生日を目前にして--4度目の来日 p.2〜p.5
【コンサート後のレセプションで「トランペットを吹く上での諸問題を克服するには、どうしたらよいか?」
という難問をかけられたアンドレが躊躇せずに、「それはアタックを良くすることだ」と答えたことなど、
呼吸法、サウンド、すべての問題が、アタックを改良することで解決に近づくこと
を示唆する言葉で記事の最後を締めくくっている。】



 
第22号
R.ラマートのカデット・システム「歌口自在抜差型奏法向上装置」 p.54〜p.57


 
第24号
P.カンドーリ(トランペット)とB.ベリー(コルネット)の西洋版ラッパ談義 p.38〜p.47


 
第25号
フィリップ・ジョーンズ(トランペット奏者)が語る“PJBE”の哲学 p.28〜p.33


 
第27号
アーバン以来の栄光の伝統を継承する/パリ音楽院教授ピエール・ティボー p.28〜p.34


 
第43号
ピエール・ティボーのトランペット奏法 p.38〜p.45


 
第44号
スタジオ・ミュージシャン数原晋にホンネをきいてみた/クラシック・プレイヤーをどう見ていますか?
p.52〜p.53


 
第51号
スーパーマン志向を排す!/佐藤哲夫(トランペット奏者) p.22〜p.27
【次の第52号に続く連載】


 
第54号
クラウド・ゴードン、恩師を語る/師ハーバート・クラークの回想 p.46〜p.49


これらの号(あるいは記事)以外にも、
当然のことながら貴重な資料となる記事が数多く存在していたことは言うまでもないが、
スペースの都合もあり、このくらいにとどめておくことにする。

また、ここでご紹介した古い雑誌は
“パイパーズ”からバックナンバーとしてもおそらく入手が困難だと思われる。
しかしながら、
編集部にお願いすれば、有料で“コピー・サービス”のような形態で
受け付けてもらえるかもしれない(保証はないが・・・)ので
一度問い合わせてみる価値はあると思われる。
(参考までに、各記事ごとの掲載ページを明記してある。)


雑誌“パイパーズ”は、
今もなお、絶えることなく貴重な情報を我々プレイヤーのために提供・発信し続けてくれている。
感謝の気持ちを申し上げると同時に益々のご発展をお祈りする次第である。



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